逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「昨日の夜、俺にお願いがあるって……あの子をここに住まわせて欲しいって琉生が言ってきたときは少しビックリしたけどさ」
「……すいません。あのとき、俺もひとりで焦ってて……」
崖からペンションに咲下を連れて帰ってくる間に、俺は考えていた。
咲下には、もしかしたら帰る場所がないんじゃないかって。
普通は、自分の家がいちばん心が落ちつける場所だと思う。
だけど、過去の俺がそうだったように、家に居場所がない場合、何よりも孤独に感じる。
遠いこの場所までやってきて、崖から飛び降り死のうとした咲下。
彼女の心が落ちつける場所、帰る場所がないのなら、
俺がそばにいて、ここで彼女と暮らしていきたいと思った。
だから昨日の夜、俺は咲下がここで暮らせるよう、翔さんにお願いをしたんだ。