逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「俺も自分で琉生を誘ったものの、本当にここで働いてくれるとは最初は思ってなかったよ」
「えっ?そうなんすか?」
驚いた表情と声を出す俺に、翔さんは笑顔でうなずく。
「ただ、なんとなく……夏休みここに来たときの琉生は……どこか寂しそうっていうか、なんていうかな」
いま思えば……あのときの俺は、
いろんなものから逃げるようにここへやってきた。
「俺も琉生と働けて楽しかったし、この場所も気に入ったみたいだったし、何より仕事も一生懸命やってくれたしな。だからあのとき、琉生のこと誘ったんだ」
「……俺、翔さんに出逢えて本当によかった」
「なっ……照れるだろ、バカ」
そう言って翔さんは、俺の髪をぐしゃぐしゃとかきまわした。
「翔さん……俺、頑張るから」
「……ん」
「ここで出逢うたくさんの人たちの旅が、楽しい思い出になるように」
たくさんの人たちの楽しい旅、
忘れられない思い出の
そのお手伝いが少しでも出来るように、
これからも頑張るから。
今日、明日……。
1つ1つ、笑顔が増えていくように。
「琉生がそんなふうに思ってくれて、俺もうれしいよ」
僕らの運命は
最初から決まっていたのだろうか。
それともーー。