逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
――――――……
「琉生ー、夕食の時間まで休憩していいぞー」
「はーい」
俺はペンションを出て、近くの砂浜に歩いて向かう。
Tシャツの袖を揺らす爽やかな風が気持ちいい。
水平線に沈むオレンジ色の夕日で、青い海がキラキラと光り輝いていた。
砂浜には、ひと組の家族がいた。
波打ち際で、幼い女の子が裸足になって、母親と一緒に無邪気にはしゃいでいる。
そんなふたりの様子を首から下げているカメラで写真を撮りながら、微笑む父親。
幸せそうな家族だった。
幼い頃からずっと、幸せそうな家族を見ると羨ましくて仕方がなかった。
なんで俺は、あういう家族の元に生まれることが出来なかったんだろうって。
憧れや寂しさから、何度もそう思った。
俺は砂の上に寝転がり、大きく息を吐き出す。
体の力が抜けた俺は、ボーっと空を見つめる。
――もうすぐ空が、夜とともに星を連れてくる。