逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



早朝の飛行機で沖縄から羽田空港に戻ったあたしは、タクシーに乗り込んだ。



向かった先は、病院。



彼女からの留守電メッセージは、



彼女のケータイに、父親が救急車で病院に運ばれたと連絡が入り、急いで病院に向かっているとのことだった。



詳しいことは何もわからないため、メッセージを聞いたらあたしもすぐに病院へ来て欲しい……そうメッセージが残されていた。



病院に向かうタクシーの中、あたしは不安でたまらなかった。



救急車で病院に運ばれたって……父親に一体、何があったんだろう。



事故……?それとも、何か病気……?



タクシーの中から彼女のケータイに何度も電話をかけたけど、一度も繋がることはなく、



彼女があたしのケータイに留守電メッセージを入れた時間から、すでに10時間以上が経っていた。



どうしてその後、何も連絡がないんだろう。



どうして繋がらないんだろう。



――その時のあたしは、ただただ不安で。



この先、あたしに待ち受けていた運命を、想像すらしていなかった。
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