逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




病院に着くと、ロビーのイスに座っている彼女の姿を見つけた。



周りを見まわしても、のえるの姿はなく、あたしは座っている彼女の横に立った。



うつろな目の彼女。まるで抜け殻のようだった。



声の出ないあたしは、そっと彼女の肩に触れる。



『……遅かったじゃない……待ちくたびれたわよ……』



そう言って彼女は、涙を流した。



いつも傲慢な彼女。



彼女のこんな弱い姿を見るのは、初めてだった。






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橘くんが私を助けてくれた日。

あの日、私の命と引き換えに、

この世界から

ひとつの命が消えました――。

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命が……消えました……。
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