逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




“虚血性心疾患による急性心不全”



それが、父親の突然死の原因だった。



父親は会社からの帰り道で倒れたらしく、通りがかりの人が救急車を呼んでくれて病院に運ばれた。



けれど、すでに手遅れだった。



父親と一緒に暮らし始めてから、父親の具合が悪いときなんて見たことがなかった。



あんなに元気だったのに。



最後に会ったときだって、何ともなかったのに。



どうして……?



とてもじゃないけど、信じることができなかった。



すぐには信じられなかった。



目を閉じたままの父親を目の前にしても、あたしは……



涙さえ出なかったんだ。
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