逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




こんな幸せな誕生日は初めてだよ……。



“Happy Birthday”



貝殻で作った文字の横に、フタを閉じた大きな白い貝殻があった。



それを指さして、彼は言った。



「それ、開けてみて」



何だろう……?



しゃがみ込んだあたしは、白い貝殻に手を伸ばす。



その大きな貝殻の中には……。



ペアリングが入っていた。



どうしよう……。



橘くんからのプレゼントに、涙が止まんない……。



「こういうの初めてだから、どんなのがいいのかわかんなくて……って、あれ?なに言ってんだろ、俺……」



橘くんがくれるモノは、全部あたしの宝物だよ……。



あたしはその貝殻を両手で包み込むように持ち、立ち上がった。



泣きながら彼の顔を見つめる。



「咲下……」



彼の優しいまっすぐな瞳。



「俺と……家族になってください」
< 514 / 528 >

この作品をシェア

pagetop