逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




その瞬間、風がピタッと止んで。



波の音も聞こえなくなって。



時間が止まったかのように思えた。



あたしの瞳に映るのは、彼だけで。



あたしの耳には、彼の声しか聞こえない。



「一生一緒にいたい」



そう言って彼は、親指でそっとあたしの涙を拭った。



君と出逢ってから、今日まで。



本当にいろんなことがあって。



“死ぬ時は一緒だかんな”

“一緒に生きるんだよっ”



君があたしにくれたものは。



数え切れないほどあった。



“俺と……家族になってください”



家族……。



あたしにはもう家族と呼べる人はいなくて。



あたしを愛してくれたお母さんには、もう逢えなくて……。



だけど……失ってしまった大切なものを



もう一度。



もう一度、君が……。
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