逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



「……っ……うっ……」



口から息とともに漏れた、あたしのかすかな声。



「さ、咲下っ!いま、声……」



「……ううっ……うーっ……」



泣き声が出たのと同時に、ずっと胸の奥にあった重たいものがスーッと消えていった。



「……っく……ひっく……ううっ……」



彼は、泣いてるあたしをぎゅっと強く抱きしめる。



「よかった……咲下。本当によかった……」



いままで、たくさん心配かけてごめんね。



仕事のときも、声が出ないことでお客さんへの対応が難しいこともあった。



でもいつもあたしを気にかけてくれて、何度も助けてくれた。



病院に行くときも、付き添ってくれた。



あたしの口の動きを見て、あたしが何を言っているのかわかるまで付き合ってくれた。



何も言わなくても、心の声を聞いてくれた。



「咲下の泣き声……俺が覚えてたままだ……」



あたしの声を。



ずっと忘れないでいてくれた。



あたしは彼の腕の中で、声を上げて思い切り泣いた――。






“一生一緒にいたい”



君が信じさせてくれたもの。



終わりのない愛。



いままで積み重ねてきたもの。そして、これからも続いていく。



ふたりの永遠。
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