逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




「あのさ、咲下……じゃなくて……」



「え……?」



「……凜」



初めて橘くんが、下の名前であたしを呼んだ。



少し照れくさそうな様子の橘くん。



「家族になるから……そう呼んでも……」



「いいよっ」



あたしは満面の笑顔を見せた。



「じゃあ……凜」



「はい」



名前で呼ばれるだけで、こんなにドキドキするなんて……。



彼の手が、あたしの頬に優しく触れた。



「世界でいちばん、幸せになろうなっ」



幸せにするんじゃなくて、幸せにしてもらうんじゃなくて。



ふたりで幸せになる。



この世界でいちばん、幸せなふたりになる。



――愛してる。



その言葉が自然と胸の奥から溢れた。



――世界でいちばん、愛してる。



涙を流しながら、あたしは君とキスをした――。






星屑のような

小さなあたしでも



特別だと想ってくれる人がいる。



この愛をずっと

ずっと大切にしたい。
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