逢いたい夜は、涙星に君を想うから。




心地いい風が吹く。



打ち寄せる静かな波の音。



そばには、貝殻で並べた“Happy Birthday”の文字。



砂浜に並んで座り、彼の手を握りしめたまま星空を見上げていた。



夜空の色が、さっきよりも明るい。



るり色の空にちりばめられた星屑。



もうすぐ、夜が明けるね――。






――その日、枕の下に隠していたノートに書いたのは、



****************

7月7日。

星屑の中、手を握りしめた。



“永遠”を信じて……。

***************



これが、このノートに書いた最後の言葉になった。



失った声を取り戻せたあたしは、このノートの続きを書くことはもうない。



たくさんの想いが詰まったノート。



それを、部屋のクローゼットの中にある、段ボール箱の中にしまった。



いままでノートに綴ってきた想いは、これからゆっくりと君に話していく。



いつも心の声を聞いてくれた君に。



これからは、あたしの声で想いを伝えていくよ。
< 521 / 528 >

この作品をシェア

pagetop