逢いたい夜は、涙星に君を想うから。



あたしは彼が寝ているベッドのそばに行き、床に座って彼の寝顔を見つめる。



人差し指で、寝ている彼の頬にそっと触れた。



寝顔……ホント可愛い……。



思わずひとりで微笑んでしまう。



そのとき、パチッと彼の目が開いた。



「わっ!……び、びっくりしたぁ。起きてたの?」



「……いや……寝てたよ……」



「ごめん、起こしちゃったね」



橘くんの寝顔を見て、ひとりでニヤニヤしてたなんて……恥ずかしくて言えるわけない。



優しい声で彼は聞く。



「どした?眠れない?」



「ううんっ。そろそろ寝ようと思ってたとこ……」



そう言ってあたしが床からベッドの上に座ると、彼は左腕を横に伸ばした。



彼の左腕に頭を乗せて腕枕をしてもらうあたしは、彼のほうを向いて横になる。



彼の体の上に手を置くと、



あたしの手の上に、彼は右手を重ねる。



「おやすみ」



そう言って彼は、重ねたあたしの手を優しく握りしめ、目を閉じた。



そのあとすぐに彼の寝息が聞こえてきて、あたしは彼の寝顔を見つめて微笑む。
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