逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
その日、面会時間が終わって、いつものようにあたしは病院を出る。
バス停に向かって歩きながら、夜空を見上げる。
星の見えない真っ暗な空。
あの日からあたしは、夜を歩き続けてる。
どんなに歩き続けても、夜から抜け出せない。
お母さんがいなくなったら……あたしはどうなるんだろう。
怖いよ……この世界からお母さんがいなくなってしまうなんて。
こんな真っ暗な世界で、あたしは、ひとりぼっちで生きていくの……?
「行かないで……どこにも行かないでよ……」
お母さん……死んじゃ嫌だよ―――。
「お母さん……っ……うぅっ……」
お母さんのところに戻らなきゃ……。
勢いよく振り返ると、いつのまにか横断歩道を歩いていたことに気づく。
目の前の信号は赤だった。
眩しいヘッドライトに照らされ、トラックがこっちに走ってくるのに気づいた瞬間、
――プァァァァーーーン!
トラックの大きなクラクションの音が鳴り響く。
あたしは驚き、その場から動けなくなった。
誰か……助けて……。
足が動かない。
もうダメ……!
あたしはぎゅっと目をつぶった。