逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
☆琉生side☆
そのあと俺は自転車の後ろに咲下を乗せて、彼女の家のアパートへ向かった。
外は寒いからと、咲下は俺を部屋の中に入れた。
「座ってて。飲み物、用意してくるね」
「あ……うん」
俺は床の上に座り、部屋の壁にもたれた。
コップを両手に持った咲下は、俺の隣に座った。
「橘くん、ホットココアでよかった?」
「うん。いただきます」
「どーぞ」
微笑む咲下は、床の上にコップを置いた。
「ごめんね、少し落ちついた……橘くんの前であんなふうに泣いちゃって……驚いたでしょ?」
「ううん」
「自分でもびっくり……どうかしてたんだね、あたし……」
「さっきの話の続き、聞くよ?」
「……うん、ありがと」
咲下のお母さんの話を聞いた。
咲下は、話の途中で何度も声を震わせていた。
それでも必死に涙をこらえながら俺にすべてを話してくれた。