逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
咲下の小さな手が震えてた。
その手に、俺は上から手を重ねる。
そして、その小さな手をそっと握りしめた。
咲下にとって、お母さんがどれほど大切な存在か。
“お母さんは、あたし自身の一部なの”
沖縄の夜に話していた咲下の言葉を思い出した。
自分をこの世界に生んでくれた人。
咲下にとって家族と呼べるたったひとりの人。
苦労してでも自分を育ててくれた人。
心から自分を愛してくれる人。
咲下にとって、お母さんは他の何にもかえられない存在。
大切な人を失うこと。
この世界で、きっと
それ以上の悲しみはない……
そう思った。