逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
どれくらいの時間が経っただろう。
俺たちは手を繋いだまま、何も話さなかった。
真っ暗な部屋の中、咲下は時々、隣で静かに涙を流していた。
咲下の手を握りしめて、俺はただ咲下のことを想った。
「やっぱり、こうして誰かがそばにいてくれると安心するね」
そう言って咲下は、俺を見つめる。
「お母さんが入院してから、夜も不安であんまり眠れなくて……あたしが寝てる間にお母さんに何かあったらどうしようって怖くて……」
お母さんとずっとふたりで暮らしてきた家の中に、
咲下ひとりでいるのはどれだけ心細かっただろう。
「眠ってもね、すぐに目が覚めちゃうんだよね……」
咲下は右手で目をこする。
「でも今日は橘くんがいてくれて安心したのかな……なんか眠くなってきちゃった」
咲下の言葉に、俺は微笑む。
「寝ていいよ」