逢いたい夜は、涙星に君を想うから。
「よし!帰ろ。後ろ乗って?」
「うん、ありがと……」
自転車の前のカゴに、白いビニール袋が入っているのに気づいた。
あたしの視線の先に気づいた橘くんは、ビニール袋を指差した。
「あ、これ?あそこの店で買った牛丼。あとで一緒に食おうと思って」
「橘くん……」
「食べないと、力も出ないっしょ?」
なんでそんなに優しくしてくれるの?
あたしなんて、橘くんに何もしてあげてないのに。
「え?もしかして牛丼て気分じゃなかった?サラダもあるよ?」
「ううん、そうじゃなくて……」
あたしの心を
その笑顔と優しさで
いつもあたためてくれる
「あー、牛丼冷めてんじゃないかって?5分くらい前に買ったから大丈夫だと思うけど……」
ビニール袋の中をのぞきこむ橘くんを見て、思わず笑ってしまう。
「ふふっ、違うよぉ」
「え?じゃあ、なに?」
「ううん、なんでもない。あたし牛丼好き!」
「はぁ~なんだよ。よかった」
ホッと安心する橘くんの表情を見て、あたしはニコッと笑った。