逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


咲下は俺の腕の中で泣いていた。



修学旅行の夜、沖縄で咲下と見た星空を思い出す。



星砂のキーホルダーを交換して、あのとき咲下と交わした言葉――。



『橘くんは、何か願い事ってある……?』



『そーだなぁー。うーん、願い事かぁ……考えとく』



『じゃあ思いついたら、いつかあたしにも教えて?』



『わかった……。約束する』



――咲下。



俺の願いは、咲下が幸せだと笑ってくれることだよ。



泣いてる咲下の体をぎゅっと強く抱きしめた。



俺の頬にも、静かに涙が伝ってく――。







この星は



俺の願いを叶えてくれますか……?



咲下をこれ以上もう悲しませないでください。



俺の大切な人を苦しめないでください。



咲下が笑ってくれるなら。



咲下が幸せになれるなら。



俺がかわりに、どんな苦しみも受けます。



だから俺の願いを。



たったひとつの願いを。



どうか叶えてください――。
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