逢いたい夜は、涙星に君を想うから。


大きく息を吐き出して、部屋の天井を見つめる。



ここでずっと、お母さんとふたりで暮らしてきた。



“凜”



お母さんの声が聞こえるのに。



あたしを呼んでるのに。



振り返ると、そこにお母さんはいない。



誰もいなかった。



あたしの名前を呼んで微笑むお母さんは、



もう……どこにもいない。



そう何度、言い聞かせても、



逢いたかった。



笑顔のお母さんに逢いたい。



「……お母さん……逢いたいよ……逢いたいよぉ……」



夢でもいいから、お母さんに逢って、



抱きしめて欲しかった。



名前を呼んで、笑って欲しかった。
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