永久桜
「だって寒いの苦手だもん。あっ!そうだ。しゅん君、桜が咲いたら一緒に見に行かない?」

「えっ!」

「ほら、幼い頃に二人でよく見に行ったよね。あの大きな桜。ねっ!見に行こう。」
彼女は優しく微笑んでいた。

僕は必死に高鳴る鼓動を抑えていた。

それもそのはず、
朝に見た夢もそうだが、しゅんは幼い頃に交わした約束を今でも、ずっと胸に閉まって居たからだ。

僕は、一杯一杯になりながらも
「わっ、分かった。一緒に行こう。」
と答えた。

そんなやり取りをしながら、あっという間に数時間が過ぎ、
外はもう夕暮れ時計は17時を指していた。

「あっ、そろそろ帰らなくちゃ。」
彼女は、そう言いながら帰り支度を始める。

「ね~、しゅん君明日も来るね。何か欲しい物とかある。」

「ううん。無いよ。」

「そう、分かった。じゃ~また、明日ね。バイバイ。」

「うん、バイバイ。」

小さく手を振って見送った。

ふと我に返ると、ほのかの居ない病室は
凄く酷く淋しく哀しく思えた。





< 6 / 6 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop