TENDRE POISON ~優しい毒~
「教師と生徒だからだめって言うの……?そんなの割り切れないよ。
好きな人でもいれば諦められると思ったのに」
俯いた顔からぽつりぽつりと言葉が漏れる。
ほんとに…
ごめん―――
「鬼頭に言われたとおり、僕に好きな人がいれば君は諦められるのか?」
鬼頭が顔を上げた。
口元を引き締めて、目は真剣そのものだった。
僕はため息を吐くと、肘をついた。
「……僕は君に嘘をついた。
僕には好きな人がいる」
「そう……」
鬼頭は静かに返事をした。
別段嘘をつかれたことに怒ってる風でもなかった。
ただ、無表情だ。
「うん」
「……誰?学校の先生?」
え?何でそんなこと聞くんだろう。
だけど鬼頭を見る限り……と言うか彼女からは何も読み取れなかった。
僕はちょっと考えたのち、
「内緒」
と答えた。