TENDRE POISON ~優しい毒~



―――――

―――


キーンコーンカーンコーン


鐘の音とともに教室からわっと生徒が飛び出してくる。


何ともない、いつもの光景だ。


僕は次の授業のため廊下を移動している最中だった。





「神代先生」


ふいに呼び止められた。





振り返ったら、鬼頭が立っていた。


明るいブルーの長袖ジャージ姿だった。


黒い髪は後ろで一つに束ねてポニーテールをしている。前髪も全部後ろにあげていてピンであちこち留めてある。


いつもと違った少し大人びた雰囲気に、


ドキリ……とした。


可愛い。


初めてこんな姿の鬼頭を見る。




「き、鬼頭どうした?」


普段見慣れない姿にどぎまぎして僕は思わず声を引っくり返えした。


「どうしたって、今日の約束覚えてるでしょ?犬見せてもらう」


「あ、ああ……」


そう言えば今日だっけ。






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