TENDRE POISON ~優しい毒~

―――――

―――


あっという間に放課後になって、鬼頭が僕の準備室に顔を出す。


最近はこれがすっかり日課になっている。


いつもと変わらず、あまり無駄口を叩かずに黙々と作業をこなす。


今日の分を終えて、


「じゃ、行こうか」と僕は切り出した。


鬼頭はきょとんとして


「どこへ?」と言った。


僕は思わずがくりと肩を落とした。


「僕の家だよ。君が犬見たいって言っただろ?」


「ああ」






いつも思うけど、鬼頭には彼女しかない独特なリズムがある。


僕はそのリズムにまだ慣れないでいる。




梶田なら……


彼なら、そんな彼女のリズムを敏感に感じ取ることができるのだろうか。




鬼頭と梶田―――


お似合いだ……と思う反面、





それが酷くうらやましくも思う。





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