TENDRE POISON ~優しい毒~



何でこんなこと言ったんだろ……


寝室に入ろうとしていたことをごまかす為に?


それもあるけど、でも自然に出た言葉。





これは嘘なのか。



それとも真実なのか―――




わからなかった。





「鬼頭……」


と神代が言いかけたところで、口の開いていたペットボトルが神代の手から離れた。


バシャッ!





「「わ!」」


二人の声がきれいに重なった。


そしてあたしの制服のブラウスが水に濡れた。


冷たっ!!


あたしと神代の足元でゆずがきゃんきゃん吠えながらくるくる回ってる。


ごめんね。


びっくりしたよね。


びっくり……


したのはあたしの方だ。




「ご、ごめん!」神代が慌てる。


「着替え貸すから、着替えて?」


そう言って神代は慌てて寝室に入っていった。



あたしとゆずは取り残されたようにぽつんと佇んでいるしかない。






神代は何を言おうとしてたのかな?






< 117 / 494 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop