TENDRE POISON ~優しい毒~
何でそうしたのか、またも分からなかった。
今日のあたしは、変だ。
さっきから思ってることとは別なことをしてる。
神代の頬はほんのりあったかい。
「ん……」
神代が身じろぎして。まぶたを震わせた。
慌てて手を引っ込めようとしたけど、その手に神代の手がそっと重なった。
え―――?
でも、神代は起き出して来る気配を見せない。
寝ぼけてるの??
ってか、客人をほったらかして何寝てるのよ。
と思う反面、この寝顔をずっと見ていたいと思うあたし。
今日のあたしは……間違いなく変だ。
「水月……」
あたしは初めて彼の寝顔に向かって名前を呼んだ。