TENDRE POISON ~優しい毒~
「ん……」
神代が幸せそうな寝顔で、わずかに身じろぎした。
そう思ったら、ふいにあたしの手に触れていた手に力が入って、あたしは引き寄せられた。
思った以上に力強い手だった。
「わっ」
あっという間だった。
心臓が強く波打つ。
神代のおなかの上で眠っていたゆずが驚いたように飛びのき、床にジャンプして不思議そうにあたしを見上げている。
神代の上に乗っかる形になったあたし。
神代の鼓動が聞こえる。
二人の鼓動が重なって、不思議なリズムを刻んでいた。
女の子のそれとは違って筋肉質の胸板。華奢だと思ってたけど、思いのほかきれいな筋肉がついた肩。
心臓が不規則に波打つのをごまかして、
「なんだよ―――起きてたの……」
と言いかかけたところに、
「まこ」
と神代の声がかぶさった。
神代は変わらず寝息を立てている。
何だ、寝言か……
まこ……
誰それ?