TENDRE POISON ~優しい毒~
「わぁお。怒った顔も可愛い♪」
男は大げさに言うと、
「そんなこと言わずにさ、あっちに車あるんだ。何ならドライブでもいいよ」あたしの腕を掴んだ。
背後の男もあたしの肩に手を置く。
「そうそう、ホテルまでの直行便ってね」
なに言ってんだこいつら。
「離してよ!マジで急いでるんだって」
あたしは男の手を振り払おうと、腕をもがかせた。
だけど男の手はびくりともしない。
引きずられるように、男たちの車へと連れて行かれそうになる。
ここはメイン通りより一本北に入った、薄暗い道だ。
今は人も通ってない。
やだ!誰か……
先生!
「せ……」と言いかけたところで、
「おい、てめぇら。そいつは俺の女だ。そいつをどうするつもりだ」
男の人の声が聞こえた。