TENDRE POISON ~優しい毒~
「……先生……」
には変わりなかった……
けど―――
「お前らどこの学校のもんだ?大学生だろう」
保健医はポケットに手を突っ込んで、首を傾けてる。
白衣を着てなかったから一瞬誰だかわからなかったけど、間違いなく保健医だ。
「何だよおっさん!やろうってんのか?え?」
あたしを車に乗せようとしていた男が保健医に殴りかかった。
「あぶなっ!」
あたしは思わず目をつぶりそうになった。
だけど保健医は男の拳をあっさりよけると、長い足で男のみぞおちを蹴り上げた。
男が何かうめき声をあげてその場にうずくまる。
保健医は手の関節をぼきぼき鳴らすと、
「次はお前か?」と言い、にやりと笑った。
あたしの腕を掴んでいた男があたしの腕を離すと、「ち、ちくしょう」と言って、もう一人の男を助け起こしに走っていった。
捨て台詞もいかにも間抜けだったけど、この際それに関しては何も突っ込まずにおこう。
男たちは自分たちの車に乗り込むとあっさりと走り去った。
あたしはびっくりして言葉も出ない。
保健医があたしにゆっくり近づく。
あたしは思わず一歩後退した。