TENDRE POISON ~優しい毒~
家が近づいてきて、あたしは指さした。
「あたしんちあそこなんで、もういいです。送ってくれてありがとうございました」
あたしはぺこりと頭を下げた。
「そっか?じゃ」
保健医もあっさりと踵を返す。
あたしはほっと胸を撫で下ろした。
家の門灯に灯りが灯ってる。
あれ?あたし消してきたはず……
門を開けると、
「雅!」
中から明良兄が顔を出した。
明良兄はすごく心配そうに眉を寄せている。
「大丈夫だったか?神代になにもされてない?」
あたしは首を横に振った。
明良兄はふっと表情を緩めると、「おかえり」と言ってあたしを中に促した。