TENDRE POISON ~優しい毒~
我が物顔でソファにどさりと身を沈めたまこは思い出したように、
「鬼頭、来てたみたいだな」
とさらりと言った。
どきりとした。
残り香―――
ここにはまだタンドゥルプアゾンの香りが残ってる。
まこには散々釘を指されている。
鬼頭 雅に近づくな―――と。
まこは綺麗に整った眉をちょっと下げて、
「そんな顔するなよ。別に咎めてるわけじゃない」
と言った。
まこは立ち上がり、キッチンへ行くと冷蔵庫を勝手に漁った。
「お前のTシャツ着てたよ。俺は気づかないふりしたけど」
僕は目を開いた。
「彼女と会ったの?」
「偶然な。たちの悪いナンパ野郎に絡まれてた」
ナンパ男に絡まれてた!?
僕は顔面を蒼白にさせた。