TENDRE POISON ~優しい毒~
僕が追いかけなかったからだ。
「どんなことがあったのか知らねーけど、お前のせいじゃない。気をもむなよ」
でも……
たまたま、まこが近くにいたからいいものを、誰もいなかったら!?
僕の頭に楠 乃亜の姿が過ぎる。
ビールの缶のプルトップを開ける音がした。
いつの間にかまこはソファに座って、ビールを飲んでる。
「ナンパ野郎はおっぱらってやったよ。ついでに鬼頭を家まで送ってった」
「そう……」
少しほっとした。
まこが一緒なら心配ない。
「で?鬼頭は何でお前のTシャツ着てたんだ?」
まこが目を細める。
返答によっては、許さないぞと含まれていた。