TENDRE POISON ~優しい毒~
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次の日の学校で、鬼頭を見かけることはあったけど彼女と目が合うことはなかった。
気づいていないのか、それとも敢えて存在を無視してるのか……
どちらとも分からない。
数学の授業をしていると、窓の外でマラソンを走ってる生徒たちがいることに気づいた。
鬼頭もその一人だ。
彼女はこの前と同じジャージ姿でポニーテールを揺らしている。
彼女はマイペースにトラックを走っていた。
男でも女でも不良でも優等生でも顔の造形と関係なく、どんな生徒も可愛く見える。
でも、やっぱりダントツは鬼頭だな。
こんなこと考えてる僕は変なのだろか…
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放課後、今日鬼頭には手伝いをしなくていい、と断りをいれてある。
昨日そのことを伝えたら、
「そっか。飲み会があるっていってたもんね」
と何も気にしてないようだった。
飲み会に変わりはないが、
僕の心がチクリと痛む。