TENDRE POISON ~優しい毒~
人数分のビールを頼んで、
「じゃあ自己紹介から」
とまこが切り出した。
「アミで~す。千夏とは先輩、後輩の中で~す」
アミと名乗った女の人はショートカットがなかなか可愛い背の高い女の人だった。
「エマです。よろしく」
控えめに答えた彼女は、黒くて長い髪、黒い瞳が印象的だった。
長い髪は綺麗に巻いてあって、どことなく雰囲気が……
鬼頭に似てる。
「……き、水月!」
わき腹をつつかれて僕ははっとなった。
「自己紹介!」まこが囁くように咎める。
「あ、うん…。神代 水月です。よろしく」
合コンなんてあまりこないし、正直何を話していいのか分からない。
曖昧に頷いて一同を見渡すのが精一杯。
「きれいな名前。どんな字を書くんですか?」
そう聞いてきたのはエマさんだった。