TENDRE POISON ~優しい毒~
僕はどうかしてる。
エマさんを見てると、どうしても鬼頭を思い出す。
彼女とエマさんを比べてしまう。
僕がビールを一口飲むと、掘りごたつの下で僕の足を誰かが軽く蹴った。
前を向くと、まこが目を細めて僕のすぐ隣を目配せしてる。
僕が隣を見ると、エマさんが一人寂しそうにカクテルを飲んでいた。
他の二組はそれぞれ仲良く話し込んでる。
話しかけろってこと??僕が目で聞くと、まこは「分かってんだろ?」と目を細めて頷いてきた。
やれやれ。まこのお節介も時々面倒だ。
それでも僕は、女性一人寂しそうにしているエマさんが気になり、
「あ……エマさんはお酒強いの?」僕は何とか聞いた。
「え?ううん…。そんなには。でも飲むのは好きなの」
エマさんは嬉しそうに答えた。
「僕はおつまみにチョコとかドーナツとか食べるんだ。変かな?」
「ううん!変じゃない。あたしも!あたしもチョコ大好き。新作が出るとすぐ買っちゃうの」
「僕もだ。あと期間限定とかに弱いんだよね」
「わかる~」
エマさんは楽しそうだ。
向かい側のまこも何やら満足げな顔してる。
これでいいんだ……
これで―――