TENDRE POISON ~優しい毒~
このまま計画通り進めていいのか。
それとも明良兄の言ったとおり、手を引くべきか……
でも一つ分かってることはある。
それは、神代は乃亜姉でもなく、あたしでもない……
『まこ』って女を大切に思ってるってこと。
「悔しいね」
あたしは再び乃亜姉の白い横顔に向かって話しかけた。
乃亜姉の肌のように白い病室はこざっぱりしてる。
壁に乃亜姉のお気に入りのチュニックが飾ってあった。
去年の今頃街であたしとおそろいで買ったチュニックだ。
薄いピンク色のレース編みで裾がひらひらしたやつ。ふわふわのファーティペットがセットになってる。
―――
――
「雅!これかわいい!これにしよ!」
街のデパートで二人で買い物してるときだった。
そう言って乃亜姉がチュニックを胸に当てた。
確かに乃亜姉が着ると可愛いだろうけど……
「え~?ちょと派手じゃない?」
あたしが答えると、乃亜姉は唇を尖らせた。
「ちっとも派手じゃないよ。これを着て“彼”とデートするの!」
「乃亜姉、その“彼”にも告ってないじゃん」
「これからだもん。ね、雅もこれにしよっ」