TENDRE POISON ~優しい毒~
「可愛い乃亜姉には似合うけど、あたしには……」
「何言ってるの!雅は可愛いよ」
乃亜姉はそう言って人差し指をあたしに突き立てた。
でもすぐに俯くと、悲しそうな表情をして、
「でもあたしの好きな人は雅のことを好きみたいなんだよね……」
――
―――
ちょっと待って。
あたしは回想から舞い戻った。
乃亜の好きな人があたしを好き…?
だって、その頃あたしはまだ中学生で神代の存在すら知らなかったんだよ。
え?
乃亜の好きな人って―――
あたしの頭の中でいろんなことがぐるぐると回った。
だって、最後に聞いた言葉が
『かみしろせんせい』だよ……
あたしは頭を振った。
あたしの復讐するべき相手は神代だよ……
だって乃亜……
あんなに苦しそうに名前を呼んだんだよ…