TENDRE POISON ~優しい毒~
いないよ。
そう、答えるつもりだった。
だって事実そうだから。
でも……
言葉は出てこなかった。
「返事がないってことは“いる”ってとっていいのか?」
梶が眉間に皺を寄せてあたしの顔を覗き込む。
「……いないよ」
あたしは小さく答えた。
梶があたしの両肩を掴む。
あたしはびっくりして目を開いた。
「じゃあ俺と付き合って。
俺、ずっとお前のこと……
好きだったんだ」