TENDRE POISON ~優しい毒~
真剣な目……
いつもの冗談を飛ばしてふざけてる梶じゃない。
「ちょっ!ちょっと待って。ずっとっていつから……?」
的外れな質問をしてるって分かってたけど、あたしの頭がついていかない。
こんなの計算にないんだもん。
「最初から」
梶は真剣な目であたしをじっと見つめてきた。
黒い濁りのない目……
「一目見たときから、好きになってた」
あ~もぅ、と言って梶はセットした髪をぐしゃぐしゃにかきむしった。
「俺、もっとスマートな男なのに。お前の前だとどうしてもかっこ悪くなっちまう」
そう言った梶の顔は真っ赤だった。
そんな梶を可愛いと思ってしまう。
あたしははっとなって、
「ちょっとトイレっ」
と慌てて立ち上がった。