TENDRE POISON ~優しい毒~
「合コンとはいいご身分ですね。自分たちはお楽しみなのに、あたしには早く帰れって言うんですか?」
嫌味たっぷりであたしは保健医を睨みつけてやった。
「クソガキが」
保健医があたしの腕を乱暴に掴む。
「ガキは早く家に帰って寝ろ!」
今にも殴られそうな剣幕だった。別に悪いことしてないのに。
そんなに合コンの現場を見られたのが嫌だったのか。
何か言い返そうと思ってった矢先、
「まこ!」
と神代の鋭い咎める声が聞こえた。
「あ?」
保健医があたしの腕を掴んだまま振り返る。
え―――?
今『まこ』って……。
聞き間違いじゃないよね。だって保健医も反応したし。
あたしは神代にそろりと視線を移動させると、神代は口に手を当て目を開いていた。
「ねぇ、あんたって『まこ』って名前なの?」
あたしは保健医に問いかけた。
保健医は怪訝な顔して、眉間に皺を寄せると、
「俺様の名前に文句があんのか?
俺は林 誠人って立派な名前があんだよ」
ハヤシ マコト―――
ふうん…それで『まこ』ねぇ。
見ツケタ。
あたしは誰にも分からないようにひっそりと笑った。