TENDRE POISON ~優しい毒~
男の神代が男の保健医を好きで、ゲイ以外なんていうの?
別にゲイに偏見持ってるわけじゃないけど。
あたしの考えが顔に出てたんだろうな。
神代は弁解するように、両手を上下させた。
「僕はまこが男だろうと女だろうと変わりないんだ。つまり彼という人間が好きで……」
「分かったよ。誰にも言わないから、今日はこれ以上勘弁して」
あたしはうんざりしたように手を振った。
何でかな……
これ以上は聞きたくなかったんだ。
いかに神代があいつを好きなんて……
神代は困ったように目を伏せた。
そんな顔しないでよ。
泣きたいのはあたしの方……
って、なんであたしこんなにも悲しいんだろ。
でも、相手が男でやりやすくなった。
あたしは黙って神代に背を向けた。
神代は追ってこなかった。