TENDRE POISON ~優しい毒~
落ち着け水月。落ち着け……
必死に自分に言い聞かせながら、タバコを口に含んだ。
だけどちっとも落ち着かない。
頭がくらくらして重いのは二日酔いだけのせいじゃない。
ソファの隅で丸くなって眠っていたゆずが耳がぴくりと動かして、こちらに走ってきた。
甘えるように僕の足首に擦り寄ってきて、僕はゆずを抱き上げ、ソファに腰をかける。
こんなこと初めてだ。
出会ったその日に寝るなんて……
でもこれは消しようのない事実で。
僕は今猛烈に後悔している。
こんなこと、まこにも言えない。
言ったら軽蔑されるに違いない。
もちろん鬼頭にも……