TENDRE POISON ~優しい毒~
僕は最低な男だ。
昨夜のことはだいぶ酔っていたとは言えはっきり覚えてる。
僕はエマさんを抱いたんじゃない。
彼女の中に鬼頭を見ていた。
鬼頭を……
抱いていた。
いっそのこと泥酔して何もかも覚えてないほうが良かった。
でも記憶の中のエマさんは……いや、鬼頭の感触は僕の中にはっきりと残っている。
でも鬼頭じゃない。
僕は何を考えているんだ。
僕が好きなのはまこなのに。
心の中であんなにも鬼頭を欲している。
僕の中には醜い獣がいた。