TENDRE POISON ~優しい毒~
「一位はダントツで神代先生!」
斉藤さんは人差し指を立てた。
神代……?
「あのぼ~としてる天然っぽいところに加えて、笑顔が超可愛い!ちょっと童顔だけど、そこがまたそそられるっていうか、母性本能をくすぐられるっていうか。
おまけに優しいし!」
キャ~と女の子たちが騒いでる。
確かに整ってはいるけど……
いや、かっこいいのか?
あたしは心の中でもやもやしたものを感じた。
それは掴みどころのない感情なのに、鉛のようにずっしりと重い。
神代……人気あるんだ……
「でも、今年は大穴がいるよ」
井出さんが真剣な目であたしを見た。
「大穴?」
「そ。うちのクラスの梶田 優輝。ひそかに二年、三年のお姉さま方の間でファンクラブがあるとかどうとか」
梶が?知らなかった。あいつそんなに人気があるんだ。
ぼんやりと考えてあたしははっとなった。
あたし!梶にまだ返事してないや。