TENDRE POISON ~優しい毒~


斉藤さんたちが息を呑んでたじろいだのがわかった。


「…な、なによ!ちょっと気になっただけでしょ?」


「そうよ、そうよ」


周りの女子たちも騒ぎ出す。


梶を含めた男子たちも何事か、こちらを向いている。


あたしは斉藤さんたちに一瞥した。


「なによ」


捨て台詞を吐いて斉藤さんたちは去っていった。





これだから女子っていや。よってたかって一人を攻撃するんだから。


気の弱い乃亜姉も外見が可愛いってだけでよく苛められてたなぁ。


そんでもってあたしみたいに神経が太くないからよく泣かされてた。


その度に明良兄が飛んできたっけ。





今は……苛められる心配もない……ね。



それだけがほんの少しの救いだよ。




はぁ。


あたしはため息を吐いた。


別に女子の嫌味なんて気にしてないけどね。


先行きに暗雲が立ち込めてる。





しかも一時限目は神代の授業だ。







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