TENDRE POISON ~優しい毒~
昨日カラオケで別れたきり、まこと話すのはこれが初めてだ。
エマさんとあの後どうなったのかまこには言ってない。
言えるわけない。
「イ、イケメンコンテスト?」
僕の声が変な風に裏返った。
「去年の優勝はお前だ。お・ま・え」
まこは人差し指で僕の額をつつく。
顔が赤くなるのを隠すため僕はふぃっと顔を逸らした。
「まさか…それ何かの間違いだよ」
「お前はもっと自覚もてよ。ちなみに俺は2位。何でこの俺様がお前に負けるんだよ」
まこは唇を尖らせている。
「いいじゃないですかぁ。僕なんてきっと10位以内にも入らないですよ」
と和田先生が頭をかいて乾いた笑いをあげた。
僕は正直1位になろうが、10位以内にも入らないだろうがはっきりいって興味がない。
でも……
鬼頭はやっぱり人気があるんだな。
黙っていれば可愛いしな。頭はいいし。
いや、僕にとっては黙っていなくても可愛いのは変わりないが……
ミスコンの紙を握りしめながら、そんなことをぼんやりと考えていると、
「水月、ちょっと付き合えよ」と、まこがタバコの箱を取り出した。