TENDRE POISON ~優しい毒~
時間は残り5分だった。
ちょうどタバコ一本吸えるぐらいの時間だ。
職員室の隅にある喫煙室に移動すると、タバコを口にくわえ、まこがいきなり僕の肩に腕を回してきた。
場違いにも、僕の心臓がドキリと高鳴る。
「昨日、エマちゃんと何かあった?」耳元で囁かれて、僕の背中にぞくりと振るえが走る。
「き、昨日?」みっともないぐらい僕の声が震えた。
「そ。お前エマちゃんを送っていっただろ?何にもなかったのか?」
探るような視線が上下左右する。
切れ長の瞳に見つめられて、僕の心臓が悲鳴をあげそうだった。
僕は、まこの腕を引き剥がすと、
「何もないって」と嘘をついた。
「そぉかぁ?」
でもまこは信じていない様子。