TENDRE POISON ~優しい毒~
「と、とにかくどういうつもりなんだ?」
鬼頭は顔をあげるとちょっと面倒くさそうに眉を寄せた。
「追試で60点以上取れれば、赤点はまぬがれるんでしょ?だったらいいじゃん」
「そういう問題じゃない!」
怒鳴ってしまったあとはっとなった。
慌てて取り繕うように怒りの表情を沈めた。
「君は僕が嫌いなのか?」
今まで生徒に好かれたことはあっても嫌われてるとはあまり感じなかった。
だから自分で言ってちょっと落ち込んだ。
「嫌い?」鬼頭はちょっと妖艶に微笑むと、
「嫌いなわけないじゃん」と身を乗り出してきた。
「その逆。あたしは先生が好きなんだよ」