TENDRE POISON ~優しい毒~
「「失礼しました」」
あたしたちは揃って校長室から出た。
ほっと胸を撫で下ろす。正直、ちょっと緊張してた。
「鬼頭、……ごめんな」
何故か神代が眉を寄せて神妙そうな顔であたしに謝った。
「別に。先生が謝ることないよ。あれはあたしが悪いもん」
「いや、僕が軽率過ぎた。……しばらくは、手伝いはいいよ。二人一緒にいるとまた噂されるから。鬼頭に悪いし」
ちょっと伏せ目がちにつぶやいた横顔は疲れているようで、それでも何故か可愛いと思ってしまうあたしはどこか変なのだろうか。
そしてそれと同時に胸の奥がズキリと痛んだ。
あれ?なんだろ……この痛み…
キリキリと締め付けられるようだ。
あたしは心臓のあたりを押さえた。
「……悪い…なんて思わないでよ。あたしは先生と噂されたことで傷ついたりなんてしてないもん」
あれ?あたし何言ってんだろ。
でも、止まらない。
「あたし…先生とならいくらでも噂されてもいい」