TENDRE POISON ~優しい毒~





あたし…変だ。


絶対おかしい。頭のねじが一本外れちゃったみたい。


動悸がするし、呼吸困難を起こしかけてる。



あたしは心臓の辺りを抑えて、その場にしゃがみこんだ。


「鬼頭!」神代の声が遠く、近くで聞こえる。



鬼頭―――!





もっと……もっと名前を呼んでよ。





―――




頭が重い。動かそうとするとくらくらする。


「―――よっ!」


声がして、あたしは目を開けた。


目の前に保健医の顔がアップであってあたしはびっくりして飛び上がりそうになった。


「ど、どうしてあんたが…」


「俺様はあんたっつー名前じゃねぇよ。もう名前を忘れたのか?」


保健医はふくれっつらをした。


白衣を着て聴診器を首からぶら下げている。


周りを見渡したら、壁やすぐ窓にかかっているカーテンが全部清潔そうな白一色だった。




保健室……?








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