TENDRE POISON ~優しい毒~



あたしは目をぱちぱちさせた。


そんな質問初めてだ。でも、保健医はふざけて聞いてきているわけではなさそうだし。


保健医が何を考えているのか全く読めなかった。


あたしの方こそ「何考えてるんですか?」って聞きたいよ。


こいつ…神代より難しいかも…



あたしはゆっくりと半身を起き上がらせた。


「……ただの女子高生ですけど」


ややあってあたしは何とか答える。


「普通の女子高生が、パソコンサーバーにウィルス送ったりなんかするか?」


保健医は形の良い片方の眉を器用にちょっと吊り上げた。




あたしは息を呑んだ。


だってウィルスを送った痕跡なんて残していなかったのに。


ウィルスはサーバーにアクセスしたコンピューターすべてに住みついて、被害を与えるタイプのもので通常のウィルス検出ソフトでは検出できないように細工を施してある。


絶対にあたしがやったって分かるはずないのに。


あたしがごくりと喉を鳴らすと、




「沈黙は肯定の意味ってとっていいんだな?」


と保健医が言い、優雅に足を組んだ。


沈黙が流れる。




少ししてあたしは重い口を開いた。




「何で気づいたんですか?」





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